EC2を立てっぱなしにするといくら?料金体系と月額の考え方
はじめに
業務でEC2を使ってはいる。インスタンスを立てて、デプロイして、動作確認する。でも「このインスタンス、月いくらかかっているの?」と聞かれると、正直あやふやだ。
AWSの料金ページを開くと、インスタンスタイプごとの時間単価が並んでいます。しかし実際に請求される金額は、インスタンスの稼働時間だけでは決まりません。ストレージ、パブリックIPv4アドレス、データ転送量。これらが組み合わさって月額が決まります。
この記事では、EC2の料金体系を構成要素ごとに分解します。具体例として、小さなインスタンスを東京リージョンで1か月動かした場合の月額を計算してみます。
EC2の料金は何で決まる?
EC2を使うときにかかる料金は、大きく4つの要素で構成されます。
| 要素 | 課金単位 | 概要 |
|---|---|---|
| インスタンス利用料 | 秒単位(最低60秒) | インスタンスタイプとリージョンで決まる時間単価 |
| EBSボリューム | GB × 月 | EC2にアタッチするストレージの容量と種類 |
| パブリックIPv4アドレス | 時間単位 | 2024年2月から有料化。使っていなくても課金される |
| データ転送(アウト) | GB単位 | インターネットへの送信データ量 |
「EC2にかかっているお金」と聞くと、インスタンス利用料がまずは頭に浮かびます。 しかし広い意味ではこれら4つの合計が月の請求額になります。順番に見ていきましょう。
インスタンス利用料を理解する
4つの要素のうち、まずはインスタンス利用料から見ていきます。
インスタンス利用料の単価は、どの購入オプションを選ぶかで変わります。
| 購入オプション | 特徴 |
|---|---|
| オンデマンド | 使った分だけ払う。いつでも開始・停止できる |
| リザーブドインスタンス | 「1年(or 3年)使い続けます」と約束する代わりに割引 |
| Savings Plans | 「毎時間○ドル分は必ず使います」と約束する代わりに割引(柔軟性が高い) |
| スポットインスタンス | AWSの余剰キャパシティを最大90%割引で利用。ただし中断されることがある |
この記事の具体例では、オンデマンド料金をもとに計算していきます。リザーブドやSavings Plans、スポットは「オンデマンドの単価からどれだけ安くなるか」という話なので、まずオンデマンドを理解するのが先です。
ほとんどの購入オプションで、単価はインスタンスタイプとリージョンによって変わります。
インスタンスタイプは、CPUやメモリなどのスペック構成を表す識別子のことです。t3.microであれば、t3がインスタンスファミリー(汎用・バースト型・第3世代)、microがサイズ(2 vCPU・1 GiBメモリ)。ファミリーが変われば用途に応じたハードウェア特性が変わり、サイズが上がればスペックと単価が上がる。
リージョンは、AWSがインフラを運用している地理的な拠点のことです。東京(ap-northeast-1)、バージニア北部(us-east-1)、大阪(ap-northeast-3)。同じインスタンスタイプでもリージョンごとに単価が異なり、一般に東京はバージニア北部より割高になります。
東京リージョンでのオンデマンド料金の例を見てみましょう(Linux)。
| インスタンスタイプ | vCPU | メモリ | 時間単価 |
|---|---|---|---|
| t3.micro | 2 | 1 GiB | $0.0136 |
| t3.small | 2 | 2 GiB | $0.0272 |
課金は秒単位(最低60秒)です。インスタンスをlaunchした瞬間から、terminateまたはstopするまで課金されます。停止(stop)すればインスタンス利用料は止まる。ただしEBSボリュームの課金は続きます。
EBS(ストレージ)の料金
EBS(Elastic Block Store)は、EC2にネットワーク経由でアタッチするブロックストレージサービスのことです。EC2インスタンスのルートボリューム(OSが入るディスク)や、追加のデータボリュームとして使われます。EC2とは独立したサービスなので、インスタンスを停止・削除してもEBSボリュームは残り、課金も続きます。
現在のデフォルトはgp3(汎用SSD)で、東京リージョンの料金は以下のとおり。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| ストレージ容量 | $0.096 / GB・月 |
| IOPS(3,000まで無料) | $0.006 / IOPS・月(超過分) |
| スループット(125 MB/sまで無料) | $0.048 / MB/s・月(超過分) |
Amazon Linuxのデフォルトでは8 GBのgp3ボリュームが作られます。ベースラインのIOPS・スループットを超えなければ、ストレージ容量の課金だけで済みます。
$0.096 × 8 GB = $0.77 / 月
パブリックIPv4アドレスの料金
2024年2月から、パブリックIPv4アドレスに対して一律で料金が発生するようになりました。
$0.005 / 時間(全リージョン共通)
EC2にパブリックIPを付けて1か月動かすと、こうなります。
$0.005 × 730時間 = $3.65 / 月
意外と大きい。t3.microのインスタンス利用料の約37%に相当します。インターネットに公開するサーバーなら外せませんが、SSHで入りたいだけなら話は別です。プライベートサブネットに置いてSSM Session Manager経由でアクセスすれば、パブリックIPなしで運用できます。
インスタンスに紐付いていないElastic IP(割り当てだけして未アタッチ)も同額が課金されます。使わないEIPは放置しない。これだけで無駄な$3.65を防げます。
データ転送(アウト)の料金
EC2からインターネットへの送信データに対して課金されます。
| 範囲 | 料金 |
|---|---|
| 最初の100 GB / 月(全AWSサービス合算) | 無料 |
| 100 GB 超〜10 TB | $0.114 / GB |
個人の学習用途やちょっとしたWebサーバー程度であれば、月100 GBの無料枠に収まることが多いはず。
受信(イン)は無料です。インターネットからEC2へのデータ転送には課金されません。課金されるのはあくまで「出ていく方向」だけ。
EC2を立てっぱなしにした場合の計算式
4つの要素が出揃ったところで、「立てっぱなし」の月額を計算してみましょう。
1か月を730時間(365日 ÷ 12か月 × 24時間)として計算するのが一般的です。AWSの料金ページもこの数字を使っています。時間課金の要素はすべてこの730時間を掛ける。
東京リージョンでt3.micro(Linux)を1か月間、立てっぱなしにした場合の見積もりです。
構成:
- インスタンス: t3.micro(2 vCPU、1 GiB メモリ)
- ストレージ: gp3 8 GB(デフォルト)
- パブリックIPv4: あり
- データ転送: 無料枠内(100 GB以下)
| 項目 | 計算 | 月額 |
|---|---|---|
| インスタンス利用料 | $0.0136 × 730h | $9.93 |
| EBS(gp3 8GB) | $0.096 × 8 GB | $0.77 |
| パブリックIPv4 | $0.005 × 730h | $3.65 |
| データ転送(アウト) | 100 GB以下 | $0.00 |
| 合計 | $14.35 |
1ドル150円換算で約2,153円 / 月。
インスタンス利用料だけで考えると約1,490円ですが、EBSとIPv4を加えると約2,150円になります。特にパブリックIPv4の$3.65は見落としがちだ。
パブリックIPv4を外せる構成(SSM Session Manager経由のアクセスなど)であれば、こうなります。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| インスタンス利用料 | $9.93 |
| EBS(gp3 8GB) | $0.77 |
| 合計 | $10.70 |
約1,605円 / 月。IPv4を外すだけで約25%のコスト削減になります。
まとめ
EC2の月額料金は、インスタンス利用料だけでは決まりません。インスタンス利用料に、EBSストレージ・パブリックIPv4アドレス・データ転送量を加えた4要素の合算です。
- インスタンス利用料は、インスタンスタイプ × リージョン × 稼働時間で決まる
- EBSは容量に対して月額課金される。停止中も課金が続く
- パブリックIPv4は2024年2月から有料化され、1時間あたり$0.005かかる
- **データ転送(アウト)**は月100 GBまで無料。個人用途なら無料枠に収まることが多い
「とりあえずEC2を1台立ててみたい」という場合、東京リージョンのt3.microで月額約$14(約2,100円)が目安になります。パブリックIPv4を外せるなら約$11(約1,600円)。
この記事の料金は2026年6月時点のものです。AWSの料金は変更されることがあるため、最新の情報はEC2料金ページで確認してください。